シブーストは日本人が古い文献から再現したフランスのお菓子だった /吉田 菊次郎氏 ご著書(西洋菓子―日本のあゆみ )でのチーズケーキなどに関する歴史の解説などの覚書

 BOUL'MICH ブールミッシュさんは  東京・銀座本店のフランス菓子専門店

自粛中に冷凍のケーキはちょうど良かったので購入した 

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アントルメ・オ・シブースト  税込1404円 1483.6kcal

Chiboust シブースト

ENTREMETS au CHIBOUST

ホームページにはいかのようにでていますが

これはそえられた金色の冊子にも同じ話がでています

1840年頃、パリの菓子職人シブースト氏が考案したアントルメが 「クレーム・シブースト」と呼ばれ、人々の評判になりました。 それから百数十年経った1971年、パリのベッケル菓子店にて製菓修行をしていた 現ブールミッシュの店主である吉田菊次郎は、古い文献を探り その中よりシブースト氏の作品を取り上げ再現したのです。 これが当時パリで賞賛され、同じものが他店でもつくられることとなりました。 これが「タルト・シブースト」です。 1973年帰国し東京渋谷にブールミッシュを開設した吉田菊次郎は、 「タルト・シブースト」の発掘再現に手を染め得た感激を大切にすべく パリ時代のレシピをもとに一層のおいしさを追求し、今に至っています。

名称 洋生菓子

原材料 りんごシロップ煮(りんご 砂糖)  クリーム 小麦粉 牛乳 乳等を主要原料とする食品(乳製品 牛乳 植物油脂) マーガリン バター ゼラチン  異性化液糖 カラメル 食塩 コーンスターチ/ 酸味料 香料 ゲル化剤(ペクチン りんご オレンジ由来) 乳化剤 メタリン酸塩Na  安定剤(増粘多糖類)

冷凍 解凍後10度以下で保存

製造者 株式会社ブールミッシュ(東京都中央区

製造所 大阪府枚方市 

蛋白質19g脂質77.3g炭水化物148.6g食塩相当量1.2g

箱 19x19x4.8cm 475gくらい

ケーキ 直径15 高さ3.5cm 450〜460gくらい(枠のプラスチック11g)

上面に丸いセロハンがついている

作った時は飴状だったのだろう

時間経過で解けるのはしょうがないだろう

上の飴がとけて 茶色のソースが下に流れているのだが

これがほろ苦みをもったカラメルソースで 非常に美味!!!

このカラメルソースだけでも価値あり

4mmくらいのタルト生地 クッキ生地というよりはパイの要素ももった生地

それほど開ききってはいないパイ生地

縁の高さは2.5cmくらい

中に底の方1.2cmは黄色い生地 カスタードのような生地 中に焼きリンゴ

その上に白い生地 メレンゲもはいった甘いもっちり生地

白い生地の上にカラメル

前にもかいたけれど

ひじょーーーに美味

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冊子にでていました 

1.Caramélesé キャラメリゼ

 上面をカラメル状に焼き上げました

2.Crèmae Chiboust クレーム シブースト

 カスタードクリームにゼラチン、ムラングを合わせたクリーム

3.Appareil et pommes crues アパレーヌ エ ボム クリュ

 卵、生クリーム、砂糖を合わせたクリームとバターでソテーしたリンゴ

4.Pâte à foncé e パータ フォンセ

 パイ生地

 

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名高い宮廷菓子職人であったシブーストの書き残したレシピ 150年ぶりに発掘再現した

ブールミッシュ店主 吉田菊次郎が今に伝えます

シブースト氏は1840年頃、パリのサントノーレ通りにある菓子店の職人でした。

彼はカスタードクリームにぜらちんを入れ ムラングとあわせた独特のクリームを考案し、スイスのフラン(タルト型のクリーム菓子)から底生地の周りにブリオッシュをリング状に飾り中にそのクリームをつめたアントルメを創りました

これが通りの名を取ってサントノーレと またそのクリームはクリーム・シブーストとよばれ 人々の評判になりました

それから百数十年経った1971年 現ブールミッシュの店主である吉田菊次郎は、パリのベッケル菓子店にて製菓修行をしておりました

当時パリでは モトドール( Motte d'or)と呼ばれる 純良材料のみを使って作るお菓子屋の会があり 失われてしまった古き良きお菓子を発掘しようという提案がありました

この会の副会長であったベッケル氏にこれを依頼された吉田は 古い文献を探り その中よりシブースト氏の作品を取り上げ再現したのです。これはモトドールの会員すべてから 賞賛され、全員の店で同じものがつくられることとなりました

これが「タルト・シブースト」です。 

 

すごい

日本人が再現したお菓子がフランスで広がったのですね

 

 以前にも単品でかっています

taberunodaisuki.hatenadiary.jp

 

 

 フランスの古い文献を読める方なので

もちろん日本の古い文献もよまれるようです

 

 西洋菓子―日本のあゆみ    吉田 菊次郎 (著)  2012年 朝文社

西洋菓子―日本のあゆみ

西洋菓子―日本のあゆみ

 

 

 ついでに 日本のお菓子の原点なども勉強してみよう

 

p14 唐菓子の伝播

源順(みなものとしたごう)『和名類聚抄』(931〜938年)

 『拾芥抄』(しゅうがいしょう)

『 厨事類記』(ちゅうじるいき)とは - コトバンク

 に出ている

あと、14種類の果餅

8種の唐菓子はイラストででています 

梅子 ばいし (桃子)

春日神社製式

餲餬 かっこ くろたまむしの幼虫

桂心 シナモン

黏臍 てんせい 餅

饆饠 ひちら

䭔子 ついし 丸い餅

 団喜 だんき

 

p19 日本の五味

酸 さん

苦 にがし

甘 あまし

辛 からし

鹹 しおばゆし

 

p20 蘇  動物の甘みの章で記載

蘇 酥とも書くと

中村孝也『和菓子の系譜 』にも記載ありと

牛乳を変化させてコンデンスミルクができ生クリーム

中略

すなわち

酥がコンデンスミルク 醍醐が生クリームで

中略

醍醐はむしろナチュラルチーズ に相当するのじゃないかとの見方もありますが

 

よほどおいしかったものとみえ 最上級の味覚は醍醐味という言葉で表現されるに至りました

 

p22 日本最古の甘き記述

日本書紀』(720年)飴 たがね 餳

そのほか

甘葛煎 あまかずらせん の説明も

 

本当の砂糖については8世紀とも作者は考察されていました

 

p37 南蛮紅毛異文化紀聞

キリスト教とともに西洋文化 西洋菓子が

 

p59 対照的なふたつの流れ の章

ヨーロッパの菓子

イタリアのメディチ家 フランス王アンリ2世となるオレルアン公に

カトリーヌ・メディチ 

アンリ4世にメリー・ド・メディシスを嫁に

シャーベット プティ・フール マカロン ビスキュイ・ア・ラ・キュイエール(フインガー・ビスケット)の作り方 技術がフランスに入る

スペイン王フェリーペ3世の娘アンヌドートリッシュルイ13世に嫁す

この時にチョコレートの技術がフランスに

フェリーペ4世の娘マリアテレジア(マリーテレーズ)がルイ14世に嫁す

チョコレート技術者同行

 などなど

 

p66

カステラの歴史

 

p71 南蛮菓子について

1682年には記載あり

金平糖とか胡麻ぼうるだとか

 

カステラのように華麗に変身をとげたものもあれば

玉子素麺のように スペインでウエボ・イラード ポルトガルでは フィオス・デ・オーヴォスと呼ばれるお菓子がそのままに受け継がれているもの

 

p71からの南蛮菓子独案内から各論でおもしろい

カステーラ

ボーロ  (p185に古川梅二郎氏関連の記載もあり)

ハルティ 波留天伊 パン

カルメイラ キャラメル

アルヘイトウ 飴菓子

コンペイトウ

タルタ  タルト ではなくスポンジケーキ

チチラアト 白胡麻 飴 もしかして チョコレート?

ビスカウト

玉子素麺

ヒリョウズ

パン

ケジャト(ケイジャート queijadaチーズケーキ ではないかと吉田氏の類推)

ヲベリヤス(ポルトガル山羊チーズオベリャスはあるが関係は不明と吉田氏)

スクラン

カセイタ

ドロップ

 

p110 アイスクリン

p116 兵糧麺麭(パン)

p121 ホテル

p124 レストラン 

 

p138 西洋菓子商売往来の章

乳製品を作り始めた人 前田留吉 1867年〜牧場経営

パン屋 木村安兵衛 

フランス菓子 たぶん‥ 村上光保

 

 p145 甘き世界のパイオニア

凮月堂

 

p154 甘き夢見し侍たち

森永

 

p158

ドロップス 岸田捨次 

広瀬長吉とともに日本洋式製菓合資会社 (おそらくお菓子で初の会社組織ではと吉田氏)

 

p163 新生日本・ケーキ情報最前線 

ケーキらしきもの 

 『万宝珍書』 須藤時一郎 チーズでなくチースとかかれていたらしい

 ライスチースケーキ ライスケーキ フラン子ルケーキ 、、、など九種

 シュークリーム考

ショートケーキの不思議

 生クリームはいつから?

 大正14年古川梅二郎『あづま錦』

 昭和2年 金子倉吉編 『製菓と図案集 』

 門倉国輝 コロンバン

 藤井林右衛門 不二家

 中澤聡一郎中沢乳業

プリンのそもそも

 明治5年『西洋料理通 』

 宮中大膳職 村上光保

それ以外の進んだケーキ

 『和洋菓子製法独案内 』

  アイリッシュシードケーキ

  ライスチースケーキ Rice cheese cake

   スポンジビスキット などなど

 『食道楽 』村井弦齋

   ブラマンヂ ババローム ワッフル パアンド

   (吉田氏は日本のブリア・サバランやグリモ・ド・ラ・レイニエールに匹敵する人では?と)

 喫茶事情 本邦初 明治36年

 

 

p187 世紀節目のお菓子屋模様

文明堂 中川安五郎 宮崎甚左衛門

中村屋 相馬愛蔵

 クリームパン クリーム・ワップル(ワッフル)

 インド革命家 ラース・ビハーリー・ボース カリーのてほどき

 エロシェンコ事件  ロシア機縁のボルシチ ピロシキ

 中国月餅 中華まんじゅう

吉田平三郎・菊太郎 パン屋

松下光廣 ベトナムなど東南アジアに洋菓子文化 カフェ レストラン を

資生堂バーラー

不二家 岩田林右衛門(藤井家に養子にはいる)アメリカ志向

 ペコちゃん昭和25年〜

 

p201 大正以来の好敵手たち

フランス風にくわえドイツ風が加わる

大正2年 森永製菓

明治39年 明治製菓

1921年 グリコ 江崎利一 弟清六

 

 

p207 独逸菓子奮闘記

明治屋

ユーハイム

フロインドリーブ

 

p212 日仏二大巨星譚

フランスの アントナン・カレーム

フランス菓子の始祖はコロンバン 門倉国輝

 凮月堂 米津松造 武三郎のところに奉公に この辺りはWikipediaにもでている

 フランス帰国時電動ミキサーを買って帰る 電気オーブン設計

 冷蔵ショーケースも僕が初めてアメリカから輸入したんだ

 と吉田氏がおききになられたそうだ 

大正時代を総括してみれば

明治前半が洋菓子誕生

  中盤以降 大企業の勃興

大正時代 町中の洋菓子店と企業化する製菓会社互いに刺激しあい高みを目指し発展

 

p222 チョコラベル昭和伝

 

p231 戦い済んで陽は明けて 

昭和24年 水飴の統制とかれ

25年練粉乳の統制解除及び菓子類の価格統制撤廃

27年砂糖と小麦粉も

門倉氏の指示 関東混合機工業 林正夫 ミキサー作る

電気オーブン 清水製作所 清水利平

昭和30年代 冷蔵ショーケース 保坂製作所

 

 

p241 菓業現世商人模様

昭和26年 東横百貨店(現 東急東横店)

日本のスゴさ

お菓子屋さんを商店から企業へと脱皮させました

中略

フランスなどにはあまりみあたりません

中略

運ぶのが無理なら 鮮度が勝負であるなら

工房ごとデパートに出店する

インストア・ベーカリーシステム

ショック・フリーザー 

小さなお菓子屋さんを企業にいろんな方法をもちいて変化させていくのが日本の凄さ特徴と吉田氏が解説されている 

 

p246 内外の甘き使徒たち

日本のお菓子の流れがかわった

日本ほどインターナショナルな国もありません

世の中の新湯つものが集まり、そしてそのどれもがみごとに日本に帰化

同化させるべく日本なりに種々の手が加えられ

材料入手の問題、日本の商習慣や労働事情、流通体制の諸問題に対処すべく

フランス菓子 ルコント 日本の洋菓子史のターニングポイント

日本的な手が加えられていないホンモノだったのです

フランス人が自分の国にあるものを、ごく当たり前に作った岳にもかかわらず

その印象は、、

投じた一石により 明らかにわが国の洋菓子の流れがかわりました

 

本物志向の幕はこんな形で切って落とされたわけです

 

ドンク 藤井幸男 フィリップ・ビゴ(パンとフランス菓子)

ピエール.プリジャン  クレープ

ハルツムーツ・カイテル ドイツ料理 ドイツ菓子(京王プラザホテル料理長)

ウオルフガング・ポール・ゴッツェ スイス菓子

セルジュ・フリボー ルノートル・ジャポン

筒井べルナール 日仏商事

フレデリック・マドレーヌ ダロワイヨ

ベンへー・ヨリス チョコレート

フランク・ドゥクロメニル フレンチ・エフ・アンド・ビー・ジャパン

宮川敏子

森山サチ子

今田美奈

大森由紀子

藤野真紀子

 

p253 追いつき追い越す発展の陰に

松田兼一 松田製菓 マーブルチョコレート 北海道ホワイトチョコレート

里見宗次 パリ在住の商業デザイナー 門倉氏など日本人を数々援助した

 

p258 お菓子は世につれ 世は菓子につれ

最初は

ショートケーキ シュークリーム プリン

次に 

チョコレートケーキ  チーズケーキ

チョコレートにしろチーズにしろ、素材としてはその時になって始まったものでおあるまいに

なんで突如として注目をあびるのかまことに不思議の国ニッポンであります

これまでどこを探しても普段の食卓にさほどのぼらなかったのに、

これだけ短期間にこれほどお菓子にたくしてチーズに接した国民も珍しいんじゃないか

うらを返せば

日本のお菓子屋さんはチーズ普及とその文化紹介に大変大きな足跡を残した

 

p264 流行甘味現世事情

1970年半ば 一口チョコ トリュフ 

1980年後半 ティラミス

1991年 クレーム・ブリュレ

1992年 チェリーパイ ツインピークス

1993年 ナタデココ

1994年 シフォンケーキ

1995年 マンゴープリン

1996年 カヌレ・ド・ボルドー

1997年 ベルギー・ワッフル

1998年 クイニー・アマン

1999年 エッグタルト

2000年 パールミルクティー(タピオカ) シナモンテイスト

2001年 ジンジャーテイスト

2002年 トマト 和テイスト 抹茶

2003年 高級仕立てチョコレート マカロン・リス

2004年 ジャム(コンフィチュール)

ジャム これがコンフィチュールとフランス語の呼び方にされただけで飛ぶような売れいきとなる

2005年 マンゴー

2006年 バームクーヘン

2007年 塩テイスト 塩キャラメル

ここでバブル崩壊

2008年 生キャラメル

2009年 チョコのヨーロッパブランド偏重傾向 ギモーヴ パート・ド・フリュイ

2010年 ラスク ドーナツ 焼ドーナツ生ドーナツ ロールケーキ

2011年 東日本大震災 ヨーグルト コンビニロールケーキ かりんとう 豆菓子

2012年 ふわふわパンケーキ

 

 

p287 西洋菓子 略史

神話時代〜2012年

 

p425 参考文献

 

 

 

すごく勉強家のかたですね

以前にいろんなものの起源について私も調べたことがありますが

早くにこの本を読んでいればとおもいました

 

自分で検索しやすいよう 人物などのキーワードを書き留めました

文字で入れておくと 検索しやすいので

本当にこの世は 検索しやすく便利

検索したら あとは本でしっかりそのページを読めばいいので

 

以前にチコちゃんに叱られる

ショートケーキは不二家起原といいきっていたけれど

実際には 不二家以外にコロンバン 凮月堂などのライバル間 情報交流でうまれたのでは

と吉田氏は考察されていた

taberunodaisuki.hatenadiary.jp