カミュのペストと同様に感染症の流行を描いたコミック  リウーを待ちながら Final Phase 読後感想

山下智久氏のドラマ インハンドの原作者の作品

 リウーを待ちながら 朱戸アオ

医療監修

 ヨシザワアキラ

取材協力

 防衛医科大学校 防衛医学研究センター 加來 浩器教授

 元陸上自衛隊第101対特殊武器治療隊長本間健一2等陸佐

けっこうしっかり取材されている作品で

本当にありそうなストーリーである

富士山麓の美しい街・S県横走市──。駐屯している自衛隊員が吐血し昏倒。同じ症状の患者が相次いで死亡した。病院には患者が詰めかけ、抗生剤は不足、病因はわからないまま事態は悪化の一途をたどる。それが、内科医・玉木涼穂が彷徨うことになる「煉獄」の入り口だった。生活感溢れる緻密な描写が絶望を増幅する。医療サスペンスの新星が描くアウトブレイク前夜!!

 

カミュのペスト

アルジェリアのオラン市で、ある朝、医師のリウーは鼠の死体をいくつか発見する。ついで原因不明の熱病者が続出、ペストの発生である。

 ここから題名のリウーになるらしい

リウーはでてこない

 サミュエル・ベケットによる戯曲『ゴドーを待ちながら』でもゴドーは出てこないから

主人公は 横走中央病院 玉木涼穂 呼吸器内科

自衛隊の医師 駒野 二佐

国立疫病研究所ウイルス第一部 原神(研究者)

鮎澤潤月(少女)

 

サルモネラ(多剤耐性 抗生物質が効かないタイプ)でひと騒動あった町に起こった事件

多剤耐性(つまり治療薬のない)ペストの話(サルモネラから多剤耐性の性質をもらった)

 

アウトブレイク

原神の指示で

一般外来中止 発熱外来  ゲートコントロール トリアージ 

自衛隊協力 仮設のテントのベッド 

緊急事態宣言 要請

感染症法に基づき封鎖(道路 鉄道)

封鎖は72時間までだから それ以上になると違法性がと

現代の話だから ネットやラインでどうなっていくか 記者会見 ネットでさらしものなども描かれている

おまけに

感染症法改正 特別措置法 復興再生特別措置法

隔離セット配布

きいたことのあるような言葉が並ぶ

 

 

もう一冊

Final Phase 朱戸アオ

監修協力 Akira Yoshizawa

取材協力 Akiko Hasegawa 

                Noriko Iwata

Final Phase (PHPコミックス)

Final Phase (PHPコミックス)

 

都心の湾岸地区にウイルスの猛威が襲い掛かる!! 世界との距離が近くなった現代日本に、警鐘を鳴らす本格ディザスターコミック!!

東京の潮浦という 島みたいなエリア(橋で繋がっている湾岸地区)

非常事態宣言

感染症法隔離措置

橋 地下鉄封鎖

 

という

どこかで聞いたことがある言葉からスタートする

こちも実在のウイルス

ハンタウイルス【腎症候性出血熱(HFRS)とハンタウイルス肺症候群(HPS)後者の方】

最初は動物ー人のみの感染と思われていたのが

人ー人への感染もわかり、、、

 

今回も主人公は

女医の総合病院勤務 鈴鳴涼子

国立疫病研究所 ウイルス第3部主任研究員 医学博士 生物学博士 羽貫琉伊

樽見潤 少年

 

 

最後のページに準主役のブログのページがのっていて

今でもアクセスすることができる 

 

 

2つのコミックで共通ででてくるのがこの言葉

住民は意外とパニックをおこさないよ

過去の災害時 住民が映画みたいなパニックを起こした例はない

一方エリートは

必要以上にパニックを恐れて住民を押さえつけようとする

という言葉

そういうものなのかな

 

 

どちらのコミックも

ものすごく早くエリアが封鎖されて

すぐに 大部屋の病室が用意されている

そして 女医 研究者 少年(少女)が軸となる

 

 

どちらも最初は致死率100%の疾患で

エボラ出血熱の時もそうだが、致死率100%だとウイルスを運ぶ人が死ぬので

あまり広がらない

今回のコロナは致死率が低いし、そんなに死なないから(またストーリーほどすぐに症状が出ないので)広がるので

そこら辺はまたこの本とは違うけれど

 

 この間見た新型インフルエンザの話

taberunodaisuki.hatenadiary.jp

 新型インフルエンザに非常に拡散しやすいインフルエンザ(H1 Aソ連型)の能力が加わるかもしれない

けれどクロスしなかった(能力が加わらなかった)の話は

リウーを待ちながらにでてきた 

 

 院長

この病院はサルモネラ騒動で1億円近い損失を出したんだぞ

今回もきっとこうなる

原神

現在確認されているペストの多剤耐性株は1995年にみつかったマダガスカル株のみそして

このマダガスカル株の多剤耐性(抗生物質が効かない つまり治療薬がない)の性質は多剤耐性のサルモネラ菌から受け渡されたものなんだ 

 という話に

 

 

医療に金銭的に大きなしわ寄せという話もサラッとでてくる

 

 

どちらの話も実際にあるウイルスの話で

いかにもありそうな日本への伝播をえがいていて

今回のコロナでも世界への行き来 地方への行き来が盛んになったために

あっという間に広まったわけなので、

コロナ以外にも今後こういったことはあるのかも

と思った

そういったときに 実際に都市はこの話のように封鎖されるのだろうか?

 

 

 

Final Phaseの152ページに出てきた

ウイルスや菌は別に人類を滅ぼしたいわけじゃない

彼らは増えたいだけ

感染者を殺すより元気に動き回りばらまいた方が増殖しやすい

自分たちだけでは生きていけず

宿主(感染した人 動物)を殺すと自分も死ぬ

だから

鳥インフルエンザは野生のカモやアヒルを殺さない

ペスト菌はノミを殺さない

ハンタウイルスはネズミを殺さない

 

生き残るために弱毒化しようとするってこと

あるいはね 

 

そんなふうに 弱毒化してくれるといいですけれどもね

 

Final Phase 2011年

リウーを待ちながら 2017年に書かれていた

というのは本当に凄いことだと思いました

 

 

ジャック・アタリ氏(仏: Jacques Attali )も2009年の著書『危機とサバイバル』で

未知の感染症によるパンデミックがここ10年で世界でおこる可能性があるとかかれていったそうですが

今回のお話は予告ではなくストーリーではありますけれど。

 

 

この本をよみつつ

現在自分に起こっていることを照らし合わせるといろいろ考える

お話と現実との違い

うーん

今読むべき一冊ですね

コミックだからよみやすいし 電子書籍はすぐに手に入るから

コロナも一旦解除傾向とはいえ いつまた感染者増加して要請でるかもしれないし、

この本のように変化することもあるわけですから