劇団チョコレートケーキ 「あの記憶の記録」「熱狂」/三谷幸喜 『国民の映画』をみての覚書

 NHK BSプレミアム プレミアムステージ

2018年5月6日(日)0時〜

2017年の公演らしい

2012年初演 2013年再演 同時上演

 

 

劇団チョコレートケーキ

いやーー 名前で見ようと思ったけれど

全然甘くなかったわ、、、

チョコレートケーキの名前の由来は 

2000年、駒澤大学OBを中心として結成。

劇団名の由来は「チョコレートケーキ嫌いな人っていないよね」というピュアな心意気。

 だそうだ

劇団員6名

菅野佐知子 制作

 

 

 

「あの記憶の記録」

作:古川健(ここの劇団は自分で書いた作品を上演するらしい作者はいつもこの方のようだ)

演出:日澤雄介(劇団の主催者)

出演:岡本篤、吉田久美、水石亜飛夢、藤松祥子、吉川亜紀子、寺十吾、川添美和、浅井伸治

 

 

「熱狂」  

作:古川健

演出:日澤雄介  

出演:

アドルフ・ヒトラー 西尾友樹、「Führer(指導者)」と呼ばれる

ヘルマン・ゲーリング 中田顕史郎、航空隊の英雄 後の国家元帥 上流階級出身

      お金を調達する力があった

道井良樹、ルドルフ・ヘス ヒトラーの個人秘書 のちに副総統

大原研二、エルンスト・レーム 突撃隊の幕僚長(突撃隊はかなり荒くれらしい)

    失業者を吸収し ふくれあがる

    一人の突撃隊員の血がながれたら 二人の赤の血でそれをつぐなうのだ

    暴力をためらうな

佐瀬弘幸、グレゴール・シュトラッサー ナチス組織全国指導者 のちに疎まれて退けられる

    経済界からも疎まれている

青木シシャモ、ヨーゼフ・ゲッペルス シュトラッサーの秘書 国民啓蒙宣伝大臣 

渡邊りょう、ハインリヒ・ヒムラー ナチス親衛隊全国指導者

  何も考えないでいい  極論をいえばFührer(指導者)の命令であれば

  無抵抗の女子供でさえ 顔色ひとつかえず排除できる鉄の心だ

山森信太郎、ヴィルヘルム・フリック 司法官出身 後の内務大臣

ここまでが実在の人物

浅井伸治 狂言回し リヒャルト・ビルクナー 共通で出てくる人

 

 

 

 上の話は

ナチスによるユダヤ人施設で働いていた

兄弟の話

PTSD 思い出したくもない話

それでも、息子の先生にうながされて話しているうちに

思い出したくもないことまでおもいだしていく

 

囚人が囚人を監視するシステム その監視役だった

トップの親衛隊 リヒャルト・ビルクナー

さいしょのうちは非情におもえる亡霊として出てくるかれ

そのうち 実は非情におもえつつも、実は配慮してくれた人であったことがおぼろげにわかる

 

その親衛隊がおなじくでてくる

熱狂

ヒトラーが政権をとるまでの話

 

 1929年の世界恐慌で宣伝ビラを舞台にたくさんばらまいた

 共産党への対抗ということで勢力をのばした

舞台転換はほとんどなく 中央に机

後ろにナチスの旗

よこにソファ

斬新なものを受け入れるのは若者 かっこよさを追求

若い党だった

1932年3月 大統領選挙 ここで舞台前列1列に並んでちょっと盛り上げ

7月 第一党に ここでちょっと気をおとす

シュトラッサーの交渉 ヒトラーが気に入らない 副首相になるという案

経済的に次の選挙を乗り切れないだろうからと交渉してきた

激怒するヒトラー シュトラッサー追い出される 裏切り者と言われ

私だけがえらばれたFührer(指導者)なんだ

私だけが革命なのだ

政権をにぎるぞ

ここで狂言回しが のちの歴史をかたる

その後シュトラッサー 1年半後のどさくさで殺される

レームもゲーリングヒムラーに殺される

ナチスは権力の亡者となるのだ

 

こちらは男性ばかり出てくる作品

 読売演劇大賞 第21回 2014年優秀男優賞(『熱狂』西尾友樹)

だったそうだ

 

最初の劇団主催者のインタビューで

この作品は2つでセットなので

同時に上演したいとかたられていた 

歴史の背景を背負っている人間の思いをつたえたい

 

熱狂だけでは

政権をとるまでの、成功への道のようにとられかねない

という 思いがある?のかなとおもったけれど

かなりの時期までヒトラードイツ国籍をもっていず オーストリア国籍だったとか

何何を使えばドイツ国籍をとれる だとか

国会で背広をぬぎすて 軍服に着替えるとか(入場は背広と決まっていたが着替えの記載なし)

政権をとってしまえば ルールなど変えることができる

のようなセリフもあり

なにをしてでも政権をとるぞ

全権委任法を成立させ国会を無力化する 

軍隊と警察権力を掌握し反対勢力を沈黙させる

赤をひとりのこらず拘束し 他の政党を解散に追い込む

国民に気取られてはいけない

粛々とすすめ

気づいた時にはあともどりできないようにしておくのだ

きっと国民は熱狂をもってFührer(指導者)の誕生を熱狂するでしょう

全ては祖国ドイツを蘇らせるためだ! ハイル ヒットラー

 

最後は 国民の熱狂の声で終わる

1933年1月内閣成立

 

最後のヒトラーの演説

手の動き 声の調子など

たぶん 本物を研究したもの?

非常に魅惑的な力のある動きであった

ここが男優賞受賞のポイントでもあるのだろうな

 

 

 

なにか 昔 土井たか子さんがいらした時代に

 広告で

「一番恐ろしいのは独裁者は人気者の顔してやってくる」

といったものがあったように記憶しているが

これはこのヒトラーの話だったようにおもう

まあ 本当はこのヒトラーにかけて政権を批判していたのだけれど

あの当時日本にしてはめずらしい他党批判の広告であったことを記憶している

つい おもいだした

 

 

そういえば 同じナチス関係芝居があること おもいだしてDVDひっぱりだした

 

 

『国民の映画』2011年の舞台

 

 

ネタバレあり

 

 

 

作・演出 三谷幸喜 

出演

小日向文世  ヨゼフ・ゲッペルス 博士 大臣 映画など芸術に理解 国民啓蒙宣伝大臣 

 

段田安則 ハインリッヒ・ヒムラー  長官 映画に興味はない ナチス親衛隊全国指導者

 

白井晃 ヘルマン・ゲーリング ここのパーティーの方が豪華らしい 国家元帥

    ゲッペルスとは仲が悪そう 貴族出身 芸術に詳しく金持 オペラも好き

    ゲッペルスの退廃美術展の悪口も 芸術音痴となじる

 

石田ゆり子 マグダ・ゲッペルス ゲッペルスの妻 夫の浮気をしっている 

      表面上は理想の夫婦

 

シルビア・グラブ ツァラ・レアンダー 大女優 歌も歌える

 

新妻聖子 レニー・リーフェンシュタール 女性映画監督 この人もゲッペルスの恋人

 

今井朋彦 エーリヒ・ケストナー 

     マグダの恋人(ケストナーはファンの一人としてしか覚えていないが) 

     エミールと探偵たち ふたりのロッテの作者 

     ナチスに対して批判的 映画の脚本をたのまれた

     (実は半分ユダヤの血が入っていることを脅されてきたのだ)

 

小林隆 フリッツ 執事 ユダヤ人 映画に詳しいので重用される 父が映写技師

 

平岳大 グスタフ・フレーリヒ 若手の大スター エルザに気がある

 

吉田羊 エルザ・フェーゼンマイヤー 新人女優 ゲッペルスの愛人

 

小林勝也 グスタフ・グリュンドゲンス 舞台俳優 依頼された仕事をすると

 

風間杜夫 エミール・ヤニングス 俳優 メフィストなどを演じる 映画監督もやる

     最初はナチスに批判的だったか立場がわるくなって擦り寄った

 

萩野清子 ピアニスト

 

 

風と共に去りぬをこえる映画を作りたいとひとを集めた

映画は芸術の最高峰だ

 

1941年12月 ゲッペルスの別荘のリビングが設定

 

白井晃の歌

シルビア・グラブの歌が始まると白井晃がはいり

最後に新妻聖子と三人で

 

小日向文世 石田ゆり子が二人で対抗して歌を そこにはいりこむ 吉田羊

 

 

ハインリッヒ・ヒムラーヒトラーからゲッペルスの映画についての監視に来た

こんな時期に映画が必要なのか

また女性関係についても調査に来た

と告げた

ゲーリングゲッペルスを助けるために来たという

 

ただ ヒムラーは映画に出たいと

それなら見逃すと

 

芸術を見る目はないが、以前女優と駆け落ちまでたくらんだ

お前はロマンチックなやつなんだ そんな奴が好きだ

エルザはダメだ 別れろと

エルザをヤニングスにひきとってもらうことにする

 

5段階にわけて いい映画に国民の映画とつけている

ヴィルヘルム テルの話を作りたい

風と共に去りぬを超える映画を

プロパガンダ

 

ヒムラーは反対する

 

ヒムラーが執事がユダヤ人だと知ってしまう

ゲッペルスたちは知らなかったことにする

ユダヤ人は市民権を剥奪されていた時代

みもとを確認して処分することになると

 

5年以内にユダヤ人を排除すると

1日に96000人殺せると

ゲーリングは殺すより労働につかせる方がいいという

ヒムラー拒否

 

最終解決 ユダヤ人殺害の話をきいて

ヤニングスがおりると

ゴットシャルクと妻の話も出る

ツァラ・レアンダーもおりる

つぎつぎ映画に関わるのをやめていく人々

 

 

芸術を愛する権利はある

だが残念ながら 芸術には愛されない とゲーリング帰っていく

 

 

執事 出発の準備 胸にユダヤの星

ヒムラーの前で私たちをかばってくれてありがとう

 

私は旦那様を憎んでおります

私の弟は収容所におくられました

でも主人をお守りするのが私の仕事です

 

久しぶりに映画がみたい 準備してくれ

勝手に見るがよろしい 立ち去る

 

映写機がまわせない ゲッペルス

私はどうすればいいのか

 

といいつつ もどってくる執事

話始めるゲッペルス 

今日ぐらい静かに見させてくれと執事

 

 

その後 執事の語りで

本日の人々のその後が語られる

 

 

 

どちらも最後に悲劇性をもっているけれど

心にのこる作品でした